日用品・油脂・調味料関連会社のパーム油問題への対応状況

日・油・調_2016-1
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生活雑貨や化粧品を製造している企業、加工油脂や植物油を製造する企業、そして調味料の製造を行っている企業のまとめ結果です。
食用加工油脂とはマーガリンやショートニング、ラードなどが含まれます。油脂業界はアンケートを送付した8社のうちすべての企業からお返事をいただくことが出来ました。その中でも最も取り組みが進んでいるのは不二製油さんです。2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」を策定し、花王さんと共にRSPO認証を超えて、「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、人権尊重を進める」と明記されています。不二製油さんに続くのはJオイルミルズさんとミヨシ油脂さんです。両社ともパーム油の調達方針はお持ちのようですが、残念ながらまだ公開されていらっしゃらないようです。さらにその後を追うのが、カネカさん、日油さん、月島食品工業さんとなっており調達方針策定まであと一歩のところです。日清オイリオさんとADEKAさんは生産地までのルート確認が出来ていないとのことですので、調達先の状況を確認し次へ進んでいただきたいと思います。油脂業界は扱う製品の原料上、回答率は非常に高いですが、調達方針を策定している企業がまだ少なく、その対応はまちまちです。

化粧品や生活雑貨、洗剤等の日用品を製造している企業さんの中では花王さんが進んだ取り組みをしています。花王さんは前述にもありますが、「原材料調達ガイドライン」の中で森林破壊ゼロを宣言し、また花王人権方針では強制労働や児童労働の禁止、先住民族の権利尊重のために「自由意志による、事前の、十分な情報に基づいた同意」(FPIC)等の人権に関する国際規範を尊重すると明記しています。
ライオンさんは「持続可能なパーム油の調達を目指して」を記載され、問題認識をされていることは伝わってきますが、生物多様性についての懸念表明がある一方で、森林破壊ゼロなどの文言は見られません。
ユニ・チャームさんは「森林由来の原材料調達ガイドライン
の中で森林減少ゼロや労働者や先住民の人権についても触れられています。また「Eco Plan 2020」持続可能な原料調達の中で2020年までに100%持続可能な認証材への切り替えを目指していらっしゃるそうです。
資生堂さんはRSPOに加盟され、パーム油課題への取り組みがウェブサイトでも触れられています。さらなるステップアップを目指していただきたいと思います。食品業界に比べ石鹸業界は早くからパーム油に対しての対策を講じてきたこともあり、回答率が高く、比較的取り組みを進めている企業が多い印象です。
調味料企業の中で最も取り組みが進んでいるのは味の素さんです。味の素さんについてはインスタント食品企業会社編で取り上げておりますので、そちらをご覧ください。味の素さんの次は鰹節やめんつゆを製造しているヤマキさんです。RSPO認証油についてはご存知ですので、自社が調達しているパーム油がどこから来ているものなのか確認をし、調達方針を定めて取り組みを進めていっていただけたらと思います。ヤマキさんに続くのがエバラ食品工業さんです。パーム油についての問題を把握し、一部ですが生産地までのルート確認をされ、RSPO認証油に関しても検討中とのことです。ただ残念ながら森林破壊ゼロや企業による人権尊重の責務についてこのアンケート時点ではまだ認識されていなかったようで、パーム油の問題認識止まりになってしまっています。ミツカンさんと宝ホールディングさんからはパーム油の利用はしていないとのお答えでした。
その他の企業さんからは残念ながらお返事はいただけませんでした。
パーム油問題への取り組みでは、食品業界と比較すると洗剤や石鹸を含む日用品業界と油脂業界の認識や対応が進んでいるようです。

※なお、今回の対応状況は送付させていただいたアンケートへの回答に基づいています。よって回答内容が実際の状況と合致しているのかどうかについては、当方では確認しているわけではありませんので、ご了承ください。今後の情報収集により変更すべきと判断した場合には修正をさせていただく場合もあります。

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