インドネシア 2011年度調査 RSPO認証済企業との間で土地紛争が発生

調査事例:インドネシア・プララワン県タンブン村(Desa Tambun, Pelalawan Province)

ムシム・マス社の農園。川にかなり近いところにもアブラヤシが植えられている。 以前は魚がとれる川だったが、今はほとんどとれなくなっている。

RSPO認証済企業との間で土地紛争が発生

1,917人・60世帯が暮らすタンブン村では、ムシム・マス社(PT. Musim Mas)の取得したアブラヤシ農園の事業権と同村の主張する土地が重複し、住民は自由に土地を利用できない状況となっています。

1986年にムシム・マス社が村周辺のおよそ3万ヘクタールの事業権を申請しました。この時からすでにこの事業権の対象地域内に村の土地7,500ヘクタールが含まれていたそうです。その後、同社は1991年に開発権(HGU:Hak Guna Usaha)を取得し、隣接するソレック村(Dusun Sorek)で開発を始めました。

住民の主な収入源はゴムとアブラヤシです。ゴムの売値はキロ当たり1万7千ルピアとアブラヤシに比べ高いのですが、収穫が天候に左右されること、また、アブラヤシの方が継続的に収入を得られることから、1998年ごろからアブラヤシの栽培にも着手しました。特定企業との契約を結ばない、いわゆる「スモールホルダー」で、村に出入りする仲買人を通してアブラヤシを販売しています。しかし、仲買人を通すよりKKPAなどに参加した方が価格も良いことから、ムシム・マス社に申請しましたが拒否されました。

アブラヤシ管理には費用がかかります。肥料だけでも、ゴム林なら年に2回の施肥で済みますが、アブラヤシは年3~4回、3種類の施肥が必要です。そのため、政府や銀行から借入れを行いたいのですが、土地の権利が重複して担保となる土地の証明が得られない状況でした。サリ・ルンバー・スブール社(PT.Sari Lembah Subur)という別の企業にもKKPAを申請しましたが、国家土地庁(Badan Pertanahan National)による調査で土地の権利がないと判断され、同社からも申請を拒否されたそうです。

1996年からタンブン村と重複する土地でムシム・マス社によるアブラヤシ農園開発が始まると、村周辺の天然林も切り開かれました。村の近くを流れる川の上流に同社の農園が造成されて以降、川の漁獲量が20分の1にまで減少したそうです。同社は2009年にRSPO認証を取得しており、住民はこの問題を改善するためRSPOに直接要望書を送りましたが、いまだに反応はないとのことでした。現在は土地の境界線を明確にするため、NGOであるWALHI と共同でマッピングを行っています。また、同じくNGOであるElangも、同村でアブラヤシ農園管理のためのエンパワーメント活動を行っています。

 

figure07
1991年にムシム・マス社が作成した地図。
中央の色の濃い部分が、同社の事業権と村の土地が重複している箇所。
この地図では「村に返還すべき土地」と記述されている

調査時期:2011/09