マレーシア・サバ州 2012年度調査

企業事例1:ケラタム・ホールディングス(KRETAM Holdings bhd)

サバ州のアブラヤシ農園分布

ケラタム・ホールディングス(以下、ケラタム)は、1989年にプランテーション事業者として登録された企業で、アブラヤシの収穫・搾油・販売を主な事業としています。サンダカン、タワウ、ラハダツに合わせて約2万ヘクタールのアブラヤシ農園を所有しており、搾油工場も2カ所稼働しているほか、現在さらに1カ所を建設中です。アブラヤシの実の生産量は年間40万トン、パーム油の生産量が年間8万トン、パームカーネルの生産量(搾油せずに販売)が年間2万トンとなっています。なお、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)には調査を実施した2012年11月時点は未加入です。

同社では以下のような環境・社会配慮活動が行われていました。

農園内での環境配慮

以前の農園開拓では火気の使用が一般的に行われており、環境への影響が大きかったが、2000年頃から連邦政府がこれを禁止する法律を制定したので、以降は使用しなくなった。 ・除草剤も当初は無規制だったが、現在では多くの農薬が規制の対象となっている。ケラタムでは、除草剤の使用削減のため、農園内で約100頭の牛を飼育し、同時に化学肥料の使用削減と有機肥料への切替えも進めている。 ・機械を農園内に入れると、アブラヤシの根を傷める(土壌を固めてしまう)ため、運搬作業に水牛を使っている。 ・ヤシガラなどの廃棄物については、50〜60%を堆肥化している。また、土壌の流出防止、水使用量の削減など、周辺河川の汚染防止にも配慮している。 ・ディーゼル使用量の削減も兼ねて、搾油工場から出る廃液からメタンを分離抽出し、燃料として活用している。

生物多様性への配慮

アブラヤシ農園内には、鳥とリスぐらいしか生息できず、農園内での生物多様性への配慮は困難であり、農園の拡大を抑える方が有効と考えている。また、農園では落ちた実を拾い集めるので、林床に雑草や低木があると作業効率が悪くなる。そのため、アグロフォレストリーのように他の樹木などを混植するのは難しい。自社が保有する丘陵地と河川沿いの土地1,600ヘクタールを森林として保全することで、農園による負荷を代替している。

農園労働者への配慮

作業者(インドネシア人が中心)の質を確保することは、経営上非常に重要だが、近年は熟練労働者が不足しているため、賃金アップ、労働時間の短縮、家屋や学校建設(2カ所)等、福祉の充実を図り、労働者の確保に努めている。

また、持続可能性に関する方針としては、
①「持続可能性」につながる改善やできることは何でも行う、
②改善を続ける、
③“Do Small, Do Well”(サバ州外への進出はしない)
の三つを挙げていました。特に③は新規開拓の抑制として重要な姿勢です。

調査時期:2012/02〜03