オランウータンのリハビリセンターが鉱山開発により危機的状況に

COPではインドネシアの東カリマンタン州でオランウータンのリハビリセンター「COP BORNEO」を運営しています。

この地域は過去に国有企業による木材伐採(択伐)のための事業用地でしたが、2012年に環境林業省よりラバナン演習林として7,900ヘクタールの地域に対する権利がCOPに与えられました。この地域は豊かな二次林に覆われていることから、将来的にはオランウータンの野生復帰のための場所としても計画されています。

しかし、このオランウータンにとって大切な地域が鉱山開発により危機的状況にさらされています。演習林が広がっているこの地域に、鉱山開発事業のための権利が企業に与えられてしまったためです。この地域で操業するベラウ・コール(PT. Berau Coal)社は、インドネシアの巨大財閥シナール・マス・グループ(Sinar Mas)の傘下にある企業です。このままでは、オランウータンのための森林が鉱山開発のために破壊されてしまうおそれがあります。

本来であれば、演習林のような特別な機能を持った地域では開発のための権利が与えられることはありません。しかし、実際にはインドネシア各地でこのようなことが起きており、世界遺産に指定されている国立公園もその例外ではありません。このような状況の背景には、汚職の蔓延や脆弱なガバナンス体制、中央・地方政府の連携不足などさまざまな要因が複雑に絡み合っているのです。


(赤枠:ラバナン演習林、水色:ベラウ・コール社による開発予定地域/8割弱が重複している)

今後も、オランウータンのリハビリセンター周辺での鉱山開発に関する新たな情報が入り次第アップデートしたいと思います。

プレゼントをもらって喜ぶアンボン

今年もドリアンの季節がやってきました。ドリアンはカリマンタンの熱帯雨林で育つ木の一つです。クラウドファンディングでいただいた寄付は、リハビリセンターのオランウータンが待ちに待った果物であるドリアンを購入するために使いました。今回、リハビリセンターにいるアンボンがドリアンを食べる様子を記録することができました。

アンボンは歯を使ってドリアンを噛みながら殻を剥き、その中に隠れされたドリアンの果実を貪ります。アンボンの食べたドリアンには、一つの区画に三つの実があり、すべてなくなるまでゆっくりと吸い出します。「アンボンは本当に喜んでドリアンを食べています。」とリハビリセンターのコーディネーターを務めるウェティ・ルピアナは言います。

アンボンは、ケージの中でこれまでの人生を過ごしてきたオランウータンです。動物園で生まれ育ったために、野生の環境で生きていくことが難しいからです。昨年、アンボンは野生復帰する前に過ごすプレリリースアイランドで過ごす機会がありました。最初は一日足らずで、木に登ることができました。「このことは私たちを勇気づけ、いつかアンボンが野生復帰することを夢見ていました。しかしその一ヶ月後、アンボンはひどく落ち込んでいるように見えました。最終的にアンボンは再びケージに戻されることになりました。」とエイプ・ガーディアンのレザ・クルニアワンは言います。

今年、リハビリセンターは再びプレリリースアイランドに再びアンボンを連れていくことを計画しています。そしてまたどのような結果になるかを評価します。今年こそはアンボンはプレリリースアイランドでの生活を楽しんでくれることを祈るばかりです。(EBO)

原文はこちら(インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2019/02/ambon-menikmati-durian-pemberianmu/
訳:熱帯林行動ネットワーク

国に押収された2羽のワシが野生に帰る

スラバヤで2015年7月、COPとアニマルズ・インドネシアの協力により東ジャワ州警察が押収した雌のカンムリオオタカ(学名:Accipiter trivirgatus)一羽が野生に帰されました。密輸の罪で逮捕された被告は2015年10月21日、7ヶ月の禁固刑と2,500,000インドネシアルピアの罰金を言い渡されています。2017年より、このカンムリオオタカはジョグジャカルタ自然保護財団(YKAY)にて保護されていました。

アニマルキーパーや獣医師による健康状態および日々の行動観察の結果に基づき、このカンムリオオタカに加え、2011年にカリバラン警察により押収された雄のカンムリワシ(学名:Spilornis cheela)が野生に帰されることになりました。野生に順応するために15日間の期間を経て、野生復帰後にはモニタリングすることができるよう足環が付けられました。

カンムリオオタカとカンムリワシは、生物資源とその生態系の保護に関する1990年第5号法律により保護されている種です。「どちらも生態系のバランスを維持している頂点捕食者です。単に見せびらかしたり、自分の欲求を満たしたりするためにワシを飼わないでください。それは法律に違反するだけでなく、自然をも破壊しているのです。」とCOPのダニエク・ヘンダルトは話します。

原文はこちら(インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2019/01/dua-elang-sitaan-negara-kembali-ke-alam/

訳:熱帯林行動ネットワーク

どうしてウントゥンはそこにいるの?

自然の中にいると人生がより豊かになります。インドネシアのさまざまな観光地でも野外活動が増えているようです。身の回りにあるものを使った伝統的な遊びを挙げてみてください。ココナッツの殻、竹馬、割れた石、縄跳びなどを使って歩くなどさまざまです。ではオランウータンはどうでしょう?オランウータンの遊びの世界は、人間と同じでしょうか?

豪雨により洪水が起きた時に一本のココヤシの木が流されていました。その後、一週間そのままの状態でしたが、プレリリースアイランド(野生に復帰する前のオランウータンが過ごす場所)にいたはずのウントゥンとウニルが姿を消しました。捜索を続けたところ、流されたココヤシの木のところにいるのが見つかりました。ココヤシの木だけではなく、たくさんの大きな木がプレリリースアイランドの端に漂着していました。2頭のオランウータンはそこで何をしていたのでしょうか?

彼らはその木にぶら下がって遊んでいたのです。何度も出たり入ったりを繰り返し、さらに何度も見回りチームを追い払うために出たり入ったりを繰り返しました。最終的には、この2頭のオランウータンをその場所で遊べなくするために木を切ることにしました。なぜチームはここまでのことをしたのでしょうか?4日間にわたり、見回りのチームが餌を持っていっても近づくことすらしなかったからです。ウントゥンは食べ物を目にも留めなかったので、そのことを心配したのです。

しかし実際には…ココヤシの木はココナッツで一杯だったようです。食べ物はそこら中に溢れており、ウントゥンはこのような新たな発見にとても興味を持ったようです。見回りチームは他の木の幹にもココナッツの殻を見つけました。おそらく漂着した多くのココナッツがあったのでしょう。「ウントゥンは怒ってチームの呼びかけに応じなくなるでしょう。食事の時間になっても巣から出てきません。それでもよいのです。来月には本当の住むべき場所に帰るのだから。森に帰ったらその怒りも治まるでしょう。」とリハビリセンターのコーディネーターであるダニエルは言いました。

原文はこちら(インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2019/01/kenapa-dengan-untung/

訳:熱帯林行動ネットワーク

ベラウのオランウータンが住みかを失おうとしています

オランウータンが住みかとしている森林を、次々と重機がなぎ倒していきます。新たなプランテーション開発はオランウータンの存在を無視しているかのようです。オランウータンは人間にもよく似た存在ですが、彼らは住みかを失ってしまいました。

「開発の波は、オランウータンの生息数がもっとも多いベラウ北部にも寄せています。あと2.5kmほどに近づいています。」とオランウータンの生息域を保護に取り組むエイプ・クルセイダーのリーダー、パウリヌス・クリスタントは言います。

オランウータンは、食べ物を探すためにしだいに道端に現れるようになってきています。「東カリマンタン州ベラウ県クライには、4台のブルドーザーと1台の重機が伐採のために準備が来るのを待っています。」COPキャンペーナーのラマダニは言います。「オランウータンの森が破壊されるのを待っていてはなりません。ベラウのオランウータンを救いましょう!」と続けました。

原文はこちら(英語/インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2019/01/orangutan-berau-kehilangan-habitatnya/

訳:熱帯林行動ネットワーク

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