お知らせ

《パーム油産業での労働搾取に終止符を打つための新たなガイドライン》

 

東南アジアでの出稼ぎ労働者への搾取の問題がこの夏、世界中でニュースの一面を飾っている。この数か月の間で、タイの漁船での強制労働( captive labour on Thai fishing boats)からパーム油産業での労働者の人身売買(trafficked workers in the palm oil industry)まで、紙面を賑わすこの問題に対して世界中からの注目が集まり、懸念が高まっている。しかし強制労働や人身売買という深刻で非道な犯罪に対し、何か解決策は取られているのだろうか。

 

一つの取り組みとして今年初め、「パーム油生産における自由で公正な労働:原則と実施ガイダンス」(Free and Fair Labour in Palm Oil Production: Principles and Implementation Guidance)が策定された。パーム油産業で横行する労働搾取への危機感から、NGOや労働組合、社会的責任投資団体、財団などが国際的に連携し、自由で公正な労働とは何かを明確に規定した。 パーム油は現在、世界で最も利用されている植物油であり、食用油やバイオ燃料、さらに洗剤・化粧品・加工食品等の消費財に広く活用され、世界中の人びとが何らかの形でパーム油を利用していることになる。パーム油産業による大規模な森林破壊は長年問題視されてきたが、昨今、パーム油生産が強制労働を含む「現代の奴隷制度」に依存している問題点を多くの主要メディア・政府・NGOが取り上げつつある。強制労働に該当しないまでも、プランテーションや精油所での労働条件は過酷で、基本的人権や労働者の権利を脅かす恐れがある。 こうした状況から、各団体は連携を図り、原則とガイダンスを明記することで、パーム油を調達・取引・生産する企業が、労働者の権利を尊重し、労働者と家族が生計を立てられるように保証するよう働きかけている。

 

「パーム油生産における自由で公正な労働:原則と実施ガイダンス」は、労働者への搾取が最も深刻なパーム油のプランテーションおよび精油所での雇われ労働者に着目している。同原則は、国際労働機関(ILO)の中核的条約および「国連のビジネスと人権に関する指導原則」で謳われる枠組みに基づき、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)が規定した既存の基準を踏襲している。新規の行動規範でも認証基準でもない。パーム油のサプライチェーンにある生産者・取引業者・加工業者・小売業者・消費者ブランド・投資家等に対して、責任あるパーム油生産の実践および支援に向けて具体的かつ実用的なガイダンスを提供するものである。

 

パーム油改革グループ(the Palm Oil Innovation Group)をはじめ、主要なイニシアティブはすでに「自由で公正な労働の原則とガイダンス」をそれぞれの基準やデュー・ディリジェンス・プロセスに取り入れる方向であり、今後ますます認識が高まると思われる。 世界中には現代奴隷制と労働搾取を巡る問題が山積しているが、「パーム油生産における自由で公正な労働:原則と実施ガイダンス」(Free and Fair Labour in Palm Oil Production: Principles and Implementation Guidance)に明記されているような具体的かつ実用的ガイダンスに則り、パーム油産業において自由かつ公平な労働を我々の代で実現するよう協働を図っていく必要がある。 「パーム油生産における自由で公正な労働:原則と実施ガイダンス」は以下を参照(http://www.humanityunited.org/wp-content/uploads/2015/03/PalmOilPrinciples_031215.pdf)CSRアジア ・サミット 2015 ではこの問題について、「外国人労働者の権利」を協議するセッションで取り上げ、イケア・ネスレ・フレクストロ二クスのケーススタディを行う。

 

http://www.csr-communicate.com/global/20150811/csr-29435