
農林水産・食品関係の産業のことを指すことばで、種苗、種畜、飼料、肥料、薬品、農業用施設・装置などの農業用資材のほか、農産物や食品の貯蔵、加工、流通など幅広い分野が含まれます。
最近では、ITやバイオテクノロジーによる高付加価値農業と地域発展に関連してよく使用されます。地球環境問題の中でも特に生物多様性や森林の分野においては、途上国でグローバル企業などが進めるアグリビジネスによる単一種(モノカルチャー)の大規模農園開発や遺伝子組み換え生物・食品(Genetically Modified Organism: GMO、またはLiving Modified Organism:LMO)が及ぼす地域固有の生物や地域社会の環境、経済、社会への影響などが懸念されています。
気候変動の要因には、自然要因と人為的要因があります。自然要因には大気自体に内在するもののほか海洋の変動、火山の噴火によるエアロゾル(大気中の微粒子)の増加、太陽活動の変化などがあります。特に、地球表面の7割を占める海洋は、大気との間で海面を通して熱や水蒸気などを交換しており、海流や海面水温などの変動は大気の運動に大きな影響を及ぼします。一方、人為的要因には人間活動に伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの増加やエアロゾルの増加、森林破壊などがあります。二酸化炭素などの温室効果ガスの増加は、地上の気温を上昇させ、森林破壊などの植生の変化は水の循環や地球表面の日射の反射量に影響を及ぼします。
近年は大量の石油や石炭などの化石燃料の消費による大気中の二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化に対する懸念が強まり、人為的要因による気候変動に対する関心が強まっています。
主に国などが国有地や公有地における開発や伐採、資源採掘などの事業について民間企業等に与える許可で、開発途上国に多く見られる制度です。
コンセッションは、国と民間企業とのいわば契約であり、特に途上国の場合、そこに汚職・癒着等が絡んでいるケースも少なくありません。様々な開発事業による生産物が市場を流通する際、近年はその生産物の「合法性」や「持続可能性」が問われることが多くなっていますが、生産の起点となるコンセッション自体に「違法性」があることも多々指摘されています。
パーム油は、アブラヤシの木から収穫した果実を高温蒸気で蒸し、圧縮することで搾り出されます。また果実の種から搾り出される油はパーム核油と呼ばれます。搾り出される油の品質は、果実の鮮度に大きく左右されるため、収穫後24時間以内に搾油するのが望ましいと言われており、搾油工場の多くは農園内や農園のそばに建設されています。
世界の森林減少・劣化は1970年代頃から国際社会において問題視されるようになり、今日いよいよ深刻になっています。特に生物多様性の宝庫と呼ばれる熱帯林の減少が顕著で、森林の農地転換や森林火災等がその要因だと言われています。
国連食糧農業機関(FAO)の世界森林資源調査(FRA)では樹冠被服率10%以上を森林と定義し、その「森林」面積の増減を継続的に調査しています。厳密に言えば、森林減少とはその「森林」面積の減少を意味し、森林劣化とは、伐採や災害等によって森林の持つ様々な機能が低下することを意味しており、樹冠被服率が低下した状態とも表現できます。
生物多様性とは、遺伝子レベル、種レベル、生態系レベルのそれぞれで生物が持つ多様さの総称。生物は、同じ種でも生息地や個体間での形態・遺伝子に違いがあり、大気、海や川、土壌などさまざまな環境に適応した多様な生物種が、多様な生態系を形成しています。生物多様性の対義語として単一種(モノカルチャー)といった表現があり、単一種のプランテーションは生物多様性を排除したものと考えられます。
生物多様性の保全は、1992年に国連の下で採択された「生物多様性条約」において、国際社会が取り組むべき必須事項と位置づけられました。同条約は、地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること、生物資源を持続可能な形で利用すること、遺伝資源の利用から生ずる利益を公正に配分することを目的としています。
先住民族の文化や様々な慣習等を規定した慣習法に基づく権利。この権利は各国が制定している憲法、法律、規則など近代的な成文法のみに規定されるのではなく、文書化されていないこともある慣習法などを含む判例法にも基づく権利です。
例えばマレーシアのサラワク州では、マレーシア独立後に同州が制定した土地法において先住慣習権が定義されていますが、他方、マレーシア憲法をはじめカナダ、オーストラリアなど海外の事例を含む様々な判例を参照して構築された判例法に基づく「先住慣習権」も存在しています。ただ、この先住慣習権を巡って、同州では現在200件を越える訴訟が起こっています。
直訳すると、「当然の注意」や「相当の配慮」といった意味になります。土壌汚染問題に伴って発展した概念で、例えば、土地を売買する場合に土壌の汚染状況を知らずに購入すれば、買主は浄化費用等をはじめとする多大な負債を被ることになるため、その回避のためには、買主側が当該地を事前に調査し、適正な価値を評価する必要があるとする考え方です。
ランドグラビング(Land Grabbing)とも。2007年に世界市場で食糧価格が急騰した、いわゆる世界食糧危機を機に、大きな投機的資本が農地や森林を含む未利用地や未開墾地に集中し、大規模な土地の囲い込みが起こっている問題を指すことばです。安価もしくは無償で賃借・売買される数万ヘクタール単位の土地には、私有地や共有(公有)地等も含まれているため、そのような土地を利用してきた地域住民の権利が侵害され、彼らの生活基盤を脅かすケースもしばしば起こっています。
2010年9月に世界銀行が発表したレポートでは、4,460万ヘクタール(日本の国土面積の約1.2倍)を超える面積が投資対象となっており、その約2割がバイオ燃料作物向けです。急速に拡大するアグリビジネスにおける不適切・不十分な環境社会配慮の弊害とも言われています。
近年、特に経済成長が著しい開発途上国で盛んな森林や土地の開発事業において、事業地周辺地の利用権や所有権を持つ住民等との間に起きている争いを指します。彼らが持つ諸権利への配慮が十分になされないために様々な問題が起こっており、訴訟に発展しているケースも少なくありません。
用途の確定していない土地(空き地)や森林などの未開発地を農地として開墾することを指します。近年、食糧増産やバイオ燃料用作物などの需要拡大に応えるために広大な土地が必要となってきており、既存の農地における作目転換はもちろん、耕作放棄地や未利用地、森林等の未開発地が新たな農地の対象として注目されるようになっています。急激な農地転換が起こっている地域では、その環境社会影響が懸念されています。
大規模農園のことをいい、その一般的な規模は数千から数万ヘクタール。作目はお茶やバナナ、大豆、サトウキビ、アブラヤシ等の食糧、ゴム採集のためのゴムの木、紙・パルプ用の早生樹木など多種多様です。アブラヤシをはじめとする需要の高まりから、近年その面積が急速に拡大しており、農園の開発及び経営に伴う環境社会影響が問題視されています。
独立した非政府組織であるトランスペアレンシー・インターナショナルにより毎年発表されている、世界175の国と地域を対象にした腐敗認識指数に関するランキングです。その国や地域の政府、政治家の腐敗の度合いが数値化されており、上位であるほど清廉であることを、下位であるほど腐敗が進んでいることを示しています。
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