忍耐はいつか甘い実を結ぶ

私は、忍耐強い人は神様に愛されるという親からの助言をいつも信じています。そして私は、神様はポピーをとても愛していると信じています。

「森の学校」でよく泣いたり眠ったりしていたオランウータンの赤ちゃんが、いまではオランウータンのリハビリセンターで私たちの誇りとなっているなんて誰が想像したでしょうか。ミルクを飲むたびに咳き込んだり、食べるものを選んだりしていたオランウータンの赤ちゃんが、いまでは森の中で食べ物を探すのがとても上手になっています。木に登ることができなかった赤ちゃんが、いまでは垂れ下がった根っこを使いながら活発に木の上を移動しています。これまでベビーシッターから決して離れることがなかった赤ちゃんが、いまでは自立しているように見えます。

2歳を迎えてからポピーは才能を見せるようになりました。母親は喜び、子供が成し遂げたことを見て誇りに思うでしょう。ポピーが木に高く登り、そこで見つけた果物を夢中になって食べる姿を見ると自然に涙が流れます。

私が森の学校にいるのは、ポピーが待っていることではありません。私が来るのをポピーが見ても、上から見ているだけでしょう。呼ばれても木から降りて来ることはないでしょう。その視線は、「お母さん、僕はもう大きくなったよ。もう木に登るのも、移動するのも怖くないよ。今日はとても美味しい花を見つけたよ。」と言っているように見えます。

私の心の中には悲しさと同時に、誇らしさがあります。そして少しだけ安堵の気持ちも感じられます。ポピーをお世話する中での忍耐は、いまでは心地よさに変わっています。今ではもうポピーを心配する必要がないからです。彼は素晴らしい赤ちゃんであり、毎月森の学校の報告を見るたびに誇らしく思います。

原文はこちら(英語/インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2018/10/kesabaran-itu-berbuah-manis/

訳:熱帯林行動ネットワーク

中央スラウェシ地震の影響を受けた動物への支援

中部スラウェシ州パルに駆け付けた「アニマル・ウォーリアー」一行は、野生生物保護局の事務所に訪問しました。2018年9月28日に起きた地震により、事務所の周辺部はまだ麻痺している状態が続いています。野生生物保護局の事務所には、1匹のワニ、1羽のワシ、1羽のオオバタン、1羽のコバタン、5羽のオトメズグロインコ、1羽のオウム、2羽のセレベスツカツクリが保護されていました。これらの動物たちは中央スラウェシ州の野生生物保護局が押収したものです。

地震が起きてから、野生生物保護局のスタッフたちは地震の影響を受けてしまったため、ケージの中に入れられていた彼らは食事や水を与えられていませんでした。先ほどスタッフとの連絡が取れ、「アニマル・ウォーリアー」が一時的にお世話をすることになりました。偶然にも開いていた八百屋さんから入手した新鮮な果物やトウモロコシを与えました。このような活動は、災害時の緊急対応として行われることになるでしょう。

COPでは現在、中央スラウェシ州の野生生物保護局の事務所を避難所として提供しています。パルに取り残された野生生物のことを心配されている方、餌となる食料を送ってもらうこともできますし、こちらからご支援していただくことも可能です。

原文はこちら(英語/インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2018/10/bantu-satwa-gempa-di-bksda-sulteng/

訳:熱帯林行動ネットワーク

キナバタンガン川流域でオランウータンの死骸 体内に3発の銃弾が見つかる

2018年9月4日、マレーシアのキナバタンガン川流域でメスのオランウータンの死骸が見つかりました。推定30歳ほどのオランウータンの腹部、肩、脚には損傷が見られました。死因は内出血であり、3発の銃弾が体内から見つかりました。

7月に中央カリマンタン州のスルヤン県で7発の空気銃により殺害されたオスのオランウータンが見つかったのはまだ記憶に新しいかと思います。2018年に空気銃で殺害されたオランウータンはBaenだけではありません。他にも、今年2月にはカライエン川流域で頭部の無いオランウータンの死骸、中央カリマンタン州で17発の銃弾が撃ち込まれた死骸、東カリマンタン州で130発の銃弾が撃ち込まれた死骸が見つかっています。

空気銃の銃弾は、法律により保護されている絶滅危惧種であるオランウータンを最終的には死に至らしめます。空気銃の使用に関する法律はすでに整備されていますが、一部の人々によりまだ使われています。これは、火器のスポーツ利用に対する管理・対策に関する2012年インドネシア警察規則第8号について、適切な法的措置が取られていないためです。

2018年にインドネシアで開催されるアジア競技大会では、野生生物を標的としない射撃のアスリート達をCOPは全面的に応援しています。狩猟はスポーツではないということを断言します。

原文はこちら(英語/インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2018/09/orangutan-kinabatangan-mati-dengan-3-peluru/

訳:熱帯林行動ネットワーク

動物のステレオタイプ(常道行動)

同じ動きを繰り返したり、動かずにじっとしたりしている動物をこれまでに見たことがあるでしょうか?このような行動は動物にとってはまったく良いことはなく、むしろ悪い影響があります。通常であれば、檻の中にいる動物はこのような異常な行動を取ってしまいやすいのです。通常の行動や自然の行動から外れるような行動のことを言います。このような行動はステレオタイプ(常道行動)と呼ばれます。

それではどのようにしてこのステレオタイプが表れるのでしょうか?これらの行動は、物理的な環境、社会的な環境または扱いが悪かったことが要因となり現れます。狭い移動空間しかない檻であったり、自然の環境とは大幅に違った状況など、充実さに乏しい環境である場合です。一方で、一つの檻の中にいる個体同士の関係性が悪いことが社会的な要因になることもあります。そして、もしその動物が過去に人間から酷い扱いを受けたなど悪い過去を持つ場合、ステレオタイプが表れることがあります。

前、後ろ、左、右へと繰り返す動作や、同じ場所にじっとしているのはステレオタイプの一例です。同じ場所で繰り返し回っているのもそうです。繰り返し行われる動作パターン以外にも、ステレオタイプによる他の行為もあります。自傷行為であったり、訳もなく頭を振ったり、執拗に自分の体を舐めたり、あるいは掻きむしったり、自分の排泄物や吐しゃ物を食べたり、さらには異常な性行為などさまざまです。

リアン・ウィナルディ氏によれば、檻の中にいる動物のステレオタイプを最小限に抑えるためにはいくつかの方法があります。その方法は、檻の中に充実さを与えることです。この充実さとは、身体的なもの、栄養的なもの、そして作業などさまざまな形があります。身体の充実さとは、動物が登るためのハンモックや木を与えることです。栄養の充実さとは、果物や野菜を切らずに本来の姿のままで与えることです。そして作業の充実さは、特殊なパイプやボールに入れて食べ物を与えるようなことです。

原文はこちら(英語/インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2018/09/sterotipe-satwa/

訳:熱帯林行動ネットワーク

動物園のケージの裏側

インドネシアには、都心や郊外など実にさまざまな場所に動物園があります。動物の数もさまざまで、小さな場所から、数ヘクタールにわたる場所まであります。動物の種類もさまざまです。一種類しかいないような場所から、世界中から動物を集めているような場所まであります。これらの動物園では、動物は適切に管理されているのでしょうか?

ここで起きるさまざまな問題は、ケージの裏側にある命に関する問題につながります。ケージの広さから、動物の数までさまざまです。ときには一頭のオランウータンが2メートル四方のケージに入れられることがあります。また、5メートル四方の鳥かごにたくさんの鳥が入れられることもあります。それはケージに暮らす動物にとってふさわしいのでしょうか?

ケージの問題の他にも、適切に管理されていない動物園に住む多くの動物たちがいます。その理由は、動物を世話するために十分な人員が不足しているためです。飼育員一人につき、3種類あるいはそれ以上の動物の世話をすることがあります。そのため、ちゃんと面倒を見られていない動物が出てきてしまいます。ケージの掃除や食事、動物自身の健康状態までさまざまです。そして最終的には、動物園の注意不足により動物園にいながらにして動物は死んでしまうのです。

このような問題に加えて、動物園に来る人々の認識の欠如が、動物が苦しむ一つの要因となっています。たとえケージの前に「動物に餌をあげないでください」と書かれていても、私たちはよく無意識のうちに動物たちに餌を与えてしまいます。かわいそうだと思い、一切れのパンを手の届く範囲にいるオランウータンにあげてしまいます。しかし、パンはオランウータンが食べるものではないことをあなたは知っていますか?

理由もなく「動物に餌をあげないでください」と書いているわけではありません。動物たちには彼らが食べるべき餌があります。それは動物たちの健康が維持されるようにするためなのです。

原文はこちら(英語/インドネシア語)
http://orangutanprotection.com/2018/08/di-balik-kandang-kebun-binatang/

訳:熱帯林行動ネットワーク

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